文学フリマ大阪レポ
こんばんは。本日も恒例の徹夜作業で流しております。
今回は、かねてより触れてまいりました友人との文学フリマ参加に際して、レポでも書かせて頂こうかと思います。非常に長くなります、お時間とお暇の許す時にご覧ください。
■友人の暴走
そもそも今回一緒に参加することになった友人という奴は、非常にこうテンションだけで数々の窮地を乗り切ってきたような人間でございまして、今回のイベント参加に関しても大体が勢いだけで決めて成り行きで実現に踏み切ったようなところがございます。
今回のイベント「文学フリマ」とは、その名の通り文学に関する萬を扱うフリーマーケットスタイルの同人イベントです。友人はこの数年主にショートショートとエッセイを中心に作品制作をしていたことから、力試しの一環としてイベント参加を望んでいました。が、大体がその動機とは「会場に来ている出版社の編集さんに目に留めて貰って、一発売れさせてもらえないだろうか」という所にありました。
それについては私も重々口酸っぱく「世の中そんなに甘くねえよ」と言っては来たのですが、頭の中が常時花畑状態の友人の事、聞きゃあしねえ。
そんなわけで、イベント参加に際し、友人から要請を受けたこともあり、またこいつを独りイベント会場という大海に放つリスクやらなんやらを天秤にかけたうえで、私も文学フリマ参加を決めました。
これがのちの気が遠くなるほどの受難の始まりであった。
■準備段階
そもそもが友人という奴は、先ほど書いたように勢いさえあれば何でもできてしまうくらいのパワフルさを備えております。それを生かして、数年前から近隣の本屋に直接売り込みを仕掛け、うち一店舗にフリーペーパー型の小冊子を置かせてもらう、という約束を取り付けてきていました。
それでなんやかやあって私も巻き込まれ、その小冊子に挿絵や表紙イラストを細々と提供していたのが事の始まりです。
まあそんなこんなで、今回も奴の書き溜めてきたショートショートをまとめた作品集に表紙イラストを提供することになったほか、今回使うポスターに関しても依頼されて制作いたしました。ここら辺完全なる無賃労働。
その際制作したものが以下の二点になります。
■表紙絵
■ポスター
友人は見栄だけは人一倍張る人間であるため、私が普段描いているようなイラストを「萌え絵は要らん」の一言で一蹴し、とにかく奴のイメージ通りのイラストを描くように求めてきました。重ねて言いますが無賃労働です。
もちろん友人には絵の知識など一切ないため、この二枚についても「東京タワーがええな」「家族。あったかい感じ」みたいな非常に断片的なさわりだけのイメージで依頼されました。
お気づき頂けただろうか。私がさっきから友人の愚痴しか言っていないことに。
それくらい友人に言ってやりたいことが多々ある。まだまだ言いたいことは尽きないので引き続きこき下ろしていきます。
■一度目の応募
本来これらの準備は半年以上前に完了しており、もともとのイベント参加は今年春ごろの予定でございました。しかし周知のとおり、感染症対策などが間に合わない状態でイベントは中止。友人、これに対して一か月間くらいグチグチ文句をのたまっておりました。
参加費が一部しか返ってこなかったという事で、その点は可哀そうだなと思ったものの運営本局にも都合がありますしね。そんなわけで一度イベント参加を見送り、その後応募したのが昨日、九月二十六日付けで開催された文学フリマ大阪でございました。
■設営
今回のイベント参加に当たり、友人、はそれなりにしっかり下調べをして臨んでおり、またイベント参加経験のある私の口添えもあって、準備物の点では特に過不足ない状態でした。ディスプレイ用の小道具なども百均でそろえておいたようで、それなりに見れる設営が出来ておりましたね。
ちなみに、おそらく友人は前日緊張で眠れないだろうと思っていましたが、当日聞いたところによると快眠したそうです。
…チッ。
■イベント開始
こうしたイベントでは、客がブースにひっきりなしに訪れるような状態になるのは一部の超大手サークルのみです。なので、基本的に暇な時間が大部分を占める。
それが分かっていたので、私はタブレット端末を持ち込んで、最初から最後まで黙々とお絵描きをしておりました。
イベント開始十五分。早くも友人が値を上げ始める。
友人「誰も買ってくれへんな。今日で言うと大体何冊くらい売れたら上出来?」
私「三冊」
友人「三冊かぁあ…まあでもこの分やと三冊も売れへんかも知れんな…」
緊張も相まって喋りまくる友人。
そのままさらに十分ほど経過。
友人「値段がアカンのかなあ…」
私「じゃあ下げてみたら?」
友人「えっっ。でもこのままでも赤字やし」
私「どうせ赤字なんやったら一冊でも売れた方がええやろ」
友人「…せやな…」
その場で値札を書き換える。それと共に、友人の秘めたる商売人魂に火が付き始めます。
友人「どうぞ! どうぞ読んでいってください!」
私「うん、売り込みは大事ね」
友人「今二百円に値下げしたとこなんで!」
私「…」
友人「お願いします、赤字覚悟なんです」
私「お前ちょいマテ」
上記やり取りを十回くらい繰り返しました。同情で買ってもらっても仕方ないだろうに。
しかしそこは天下の台所、大阪開催という事で、割とフレンドリーかつこちらのぐいぐい行く客引きにも応じてくださる方が一定数おられ、冊子は七冊売れましたし友人が用意していたカード型のフリーペーパーは全てはけました。
一冊売れるごとに「良かったな? 感謝せんとな?」と念を押し、友人のやる気に薪をくべる山田。友人のしどろもどろのセールストークに適宜横やりを入れてフォローしてやる山田。友人が度の過ぎたセールスを行うたびに手刀をたたき込んでやる山田。
大体のところ、友人っつう問題児を引率する先生でしたね私。
■まとめ
現実を見せてやろう、という趣旨で迎えた当日でしたが、友人曰く「楽しかった」し「自信になった」そうです。まあそれはそれで喜ばしい事なのかなと。今回の売れ行きの大部分が友人の半ば強引な客引きの成果であったことは言えるので、次はもうちょっと考えて参加しようね、という事で昨日は別れました。
私個人の反省としては、やはりビジュアル面でもう少しまともなものを出せたはずという所でしょうか。文学のイベントであるとは言っても、各々のサークル様がポスターや冊子の表紙、グッズのプリントなどに趣向を凝らしておられ、そのクオリティはイラストや漫画などが中心のイベントとさほど遜色ありませんでした。
今回作成したポスターや表紙イラストがもっといい出来であれば、もう少し売り上げはよかったかもしれません。
というわけで、最後に会場でタブレットを使って描いていた落書きを貼って締めます。
■落書き1
■落書き2
友人に、また来年の春ごろ落ち着いたら次のイベントに参加しよう、と言われており、まあそれを楽しみに生きるとしましょうか。
ではまた次回。