初級者向け講座4「手足の描き方と自分の方向性」
おはようございます。日曜日ですね。自分はリハビリ以外は絵を描くだけという生活をしているせいで曜日感覚に疎くなりがちなのですが、毎週日曜日はサザエさんを観る事で感覚の狂いがリセットされます。あちらの番組、休日の終わりを告げる使者として社会人の皆様にはなかなか恐れられているらしいですが…。
今回のご紹介も絵の練習に纏わるものです。
主にデッサンのやり方について解説されているサイト様です。デッサンを始めたいけれどやり方がまるで分らないという方向けですね。なるべく文章による解説を最小限に抑え、シンプルで簡潔な解説中心に構成されています。
描き方に詰まったらこちら↓をどうぞ。
初心者でも上手く描けるデッサンの描き方講座 - NAVER まとめ
デッサンを行っている課程が実際の動画で載せられています。
なぜデッサンが必用なのか、という話にもいずれ触れようと思うのですが、今回は割愛。
この度の話題に参ります。手足の描き方について。
前回の講座で、体幹(胴体)について触れたのですが、なぜ胴と手足を別々に解説しているのかというと、それらが基本別個に動くものであるからです。
体幹は一つの塊として捉えたほうが、その動きの流れを追い易くなりますし、それは腕や脚それぞれにも言えること。理想としては、最終的に全身の流れや重心(全身の重量が特に掛かっている場所)を意識出来るとぐっと良くなるのですが、それもまた別の機会にお話出来ると良いかなと思います。
まずは、いつも通り私の習作からご覧頂きましょう。
今回は、私が記憶を頼りに描いたりポーズマニアックス様で練習した手足を載せて行こうと思います。まず、お詫びしておかなければいけないのですが、上の作例は正確な人体として描かれたものではございません。これを描いたのが去年の中頃になるのですが、当時自分は今よりもさらに未熟で、特に腕の筋肉の構造を理解するに至っておりませんでした。
実は、人体の腕の筋肉というものは、上級者やプロであっても練習し続けなければ忘れてしまうというほど複雑な構造をしております。以前ご紹介したKITAJIMAのお絵描き研究所を参照して頂いて、なるべく頻繁に確認しながら描くのが正確に描く近道でしょう。
ただし、実際の作画において、そこまで過剰な正確さというものは必要でないことが多いです。
ぶっちゃけ、「らしく」見えればそれでいい。この考え方は結構大切で、突き詰めて突き詰めた挙句硬い絵になってしまわないためにも、らしく見える方法を自分なりに見つけておくと良いかなと思います。例えば今のお絵描き世代が筋肉を覚えるのに役立てた「ドラゴンボール」や「鋼の錬金術師」といった漫画でも、筋肉は「らしく」描かれているだけで実際の所構造などは曖昧で、間違いも多々あります。要は、ある程度自分の描き易い描き方を作ってしまうのが大事。
まず手について見て行くと、大体手のひらと五本の指で構成されていることにお気づき頂けるかなと思います。構造を理解するうえで、とにかく分解して単純な形に置き換えてからくっつけるというのがとても有効です。手のひらがある程度丸みを持って変形すること、指の節が二つあること、親指だけ他の四本の指とは別の動き方で稼働すること。この三つの点を押さえておけば、大体手は描けます。
次に腕と脚に関してですが、腕は、肩から肘までの長さと肘から手首までの長さが同じになります。脚に関しても、太腿と膝下から足首までの長さが同じ。あとはそれぞれの稼働域と回転域を逐次確かめながら描けば、それほど複雑ではありません。
ここでは筋肉の付き方も詳しく描写していますが、最初は輪郭の流れを意識するようにしたほうが良いでしょう。筋肉に気を取られてしまうと、最初の内は逆に凸凹した不自然な肉付きになってしまいます。どこが膨らんでいてどこが凹んでいるか。どこが硬くてどこが柔らかいか。大体そこら辺さえ線で表現できていれば、棒のような手足でも十分それらしく見えます。
足先については、これ、とても難しいんですよね…しかも靴を履いているとさらに訳が分からなくなるので、初めは資料を集めて描くようにするのが無難かもしれません。どうしても難しい場合はデフォルメしてしまっても良いと思います。
ここまでご覧頂けた方には、「人体を正確に描くのって凄く難しいんだな、複雑なんだな」と思われてしまった方が少なくないかと思います。でも、別に簡単に描いてしまっても良いんです。骨や筋肉が全く入っていないようなぐにゃぐにゃの手足だっていい。膨らみもくびれもないような寸胴な胴体だって良い。大切なのは、「自分の方向性」を見つけて、特に自分の成長にあわせてその方向性を進化・強化させて行くことです。
例えば私などは、最初からリアル系のイラストを描くことを目的にしておりました。
でも、元々が絵の学校などでちゃんと学んだ身でもなく、デッサンやクロッキーも独学であり、そうした「独学の期間」で自分の若い時間の多くを費やしてしまいました。こうなってくるともう、学生時代に本格的なデッサン・クロッキーを何千枚としたような人には到底追いつけなくなって来ます。
これがデジタル絵を初めて一年頃のイラストですが、雰囲気と形をざっくり捉えるので手一杯というのが見て取れます。
ならばと思い、私はとにかく人物に絞って練習しようということに決めました。衣服に関しても、最初から今のようにデザインする方向に絞っていたわけでは無く、最初は上のような簡単な布地を纏っただけの人物しか描いておりませんでした。
それが結果として、人体を集中的に練習出来る状況作りの決め手になっています。
これがその半年後くらいのイラスト。
そしてこれが、そんな風に人体ばかり練習し始めて一年ほど、デジタルを初めて二年ほど経った頃に描いたもの。独学であっても、それだけやり続ければこれくらいの技術は短期間で身につくのです。
もちろん、最初から「これを描こう、これを自分の方向性として定めよう」とはっきり決めてしまわないほうが伸びる場合と言うのもあると思います。自分の適性が、描きたい方向性とは別にあった場合ですね。
なので、最初はとにかく色んな物を描いてみるのが良い。好きなものを好きなように描きまくっていれば、その内自分の中で曲げられない矜持や、どうしても描きたいものが見えてくるでしょう。その時に迷わなければ良いし、別に迷っても良い。遠回りになったとしても、努力はやっただけその成果がどこかに現れてくるものなのです。
いつも以上に長い記事になってしまいました。どうか忘れないで頂きたいのは、どんなことでも一番大切なのは、「過程を楽しむ事」だという事です。楽しんでいれば自然と次に進みたくなる。どうか楽しんでたくさん自由に描いてください。その中で、直接絵に関連することでなくても何か一つでも引っかかるものを見つけて下さることを願っております。
では、また次回。