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山田唄のイラストブログ

イラスト描き、山田唄の制作物を載せて行きます

シルエットによる特徴づけ

美術持論

 こんにちは。この所連続して記事を更新しておりますね。私の記事は一つが大変長いので、読んでくださる方には毎回大変なのではないかなと思っているのですが…短い文章で面白い内容に出来ない所は不徳の致す所でございます。

 今回は前回もちらっと触れました「シルエット」によるデザインのお話。

 

 シルエットというのは皆様ご存じだと思われますが、輪郭のみを抽出した単色の像のことになります。影絵などをイメージすると分かり易いですよね。デザインの世界では、このシルエットを面白く、かつ特徴的にする事がとても大切です。

 人間の眼は、画像や風景を観るとき線をたどる性質があります。そのため、輪郭を工夫することは目を楽しませることに直結するわけです。情報量の理屈と同様、複雑な輪郭であるほど楽しませる効果は大きいと言えます。

 ここまでだと雲をつかむような話ですね。例を挙げて行きましょう。

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 このイラストは私が一昨年に描いたキャラデザインの習作です。色々至らない箇所は見つかりますが、この絵がイラストとして一番マズイ部分が先ほど申しましたシルエット。まず、人物が棒立ちでポーズにもほとんど変化が無く、また服装にもシルエットにした時に目立つ部分がございません。さらにはポイントとなるべき銃も縦に垂直に下されてしまっており、画面を退屈にしています。

 今述べたようなことは、絶対的に悪いことではありません。退屈なシルエットというのは「静的な」シルエットとも言うことが出来、すなわち安定を意味します。リラックスを促すようなイラストやグラフィックの場合は、この静的なシルエットを用いたほうが効果的な場合が多い。

 しかし、キャラデザインというものは基本的に目を楽しませてナンボな所がございます。特に、繰り返しますが特徴的なシルエットにすることがキャラのぱっと見の特徴づけで大変大切になってくる。

 それを踏まえて、キャラを別のコンセプトで描いてみたのが下のイラストです。

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 今回まず大きく意識したのは、髪形に面白さを付加することでした。先ほどのストレートに布を巻いただけの頭部に比べ、おさげのボリュームのある髪と大きな髪留めがシルエットを面白くしています。

 基本的にシルエットというものは、末広がりの物ほど静的で安定したイメージを与えます。つまり、不安定で面白い動的なシルエットにするためには、わざと逆三角形にするなどしてバランスを崩してやれば良いことになります。今回のボリュームのある髪は、キャラ全体の重心を上に引き上げてバランスを崩し、動的な画面にすることに成功していますね。

 もう一つこのキャラデザインに言えるのは、ボディラインを効果的に生かした服装とポージングになっている点です。女の子なのでやはり胸や尻、脚などのラインを積極的に出して行きたかったので、今回胸を前に押し出すようなポージングと、腰を絞った衣装に致しました。このことでシルエットが女性らしくなり、一目で女性的な魅力を感じるキャラになっていると言えます。

 もう一つくらい例を挙げてみましょうか。

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 これも一昨年のキャラデザイン習作です。今回特に意識したのは、ボトムに重さを持ってきてどっしりした構成にしつつ、上手くバランスを崩して動的なシルエットにすること、でした。そのために巨大な武器を構えさせ、重心を上のほうに引き上げてあります。また、先ほどの女性のキャラデザインとは対照的に、胸板が厚く腕の太い男性的なシルエットにすることで、今度は逆に男性的な魅力を色濃く醸したキャラデザインにしています。

 

 なんとなくシルエットの大切さがお分かり頂けたでしょうか。

 このシルエットの理屈はデザインのみではなく、一枚絵を描く時にも応用することが出来ます。例えば次のイラスト。

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 我ながら恥ずかしい習作なのですが、シルエット的には大変優れた作品になっているのではないかなと思います。まず、手前の人物のボディラインを強調しつつ腕を広げ髪をなびかせた動的なシルエットにした点、次に画面奥の天使のようなモンスターの翼を一杯に広げることで人物とシルエットの大きさの対照を作り、また人物と併せたシルエットが逆三角形の動的な形になるようにしています。さらには鎖やろうそくで複雑なパターンを作り、うねるような画面にすることに成功していると言えます。

 

 シルエットを考えるときには、画面を少し目から話して見てみることが効果的です。デジタルであれば縮小機能を使ってみるのも良いですね。そうすることで全体を観ることが出来るので、形の面白さが出ているかどうか判断しやすくなります。

 

 いかがでしたでしょう。なるべく分かり易く説明したつもりですが、納得頂けたでしょうか。今まで何回かに分けてデザインの持論を述べて参りましたが、そのどれもを一度に意識しようとすると大変難しいと思います。ただ、一つ一つはとても単純な理屈なので、頭のどこかにでも留めておいて頂けるといざと言う時に便利ですし、意識して描くうちに自然と応用出来るようになっていけるのではないかなと思っております。

 今日は若干暇なので、もう一度記事を更新するかもしれません。よろしくお付き合い下さいませ。

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