イラスト・ノート

イラスト描き、山田唄の制作物を載せて行きます

初級者向け講座14「構図の基礎、ポジとネガ」

 こんばんは。今夜は徹夜で作業しております。相変わらず仮眠をとってから徹夜、のリズムが変えられないですね。ただ、この所体力が落ちてきているのか、仮眠からそのままずるずる眠って朝を向かえるという事も増えて来ています。とりあえず日中に日の光を浴びる習慣をつけたほうが良いのかもしれません。

 さて、今回は、一枚絵、或いは立ち絵の構図作りに関してざっくり掘り下げてみようと思います。

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 一枚絵を描く時、特に悩ましい要素としてまず挙げられるのは「背景」かなと思います。特にキャライラスト系の絵を描く絵描きにおいてそれは顕著ですね。私自身が背景を大変苦手としているのですが、今回はとりあえず背景の描き方は置いておきます。また解説するときまでに私も勉強し直しておきたいですね。

 

 では一枚絵、立ち絵を描く時にここではまず何を考えるべきなのか。ここは割と人様によって様々な部分であり、ご自身の方法論が既にある方はそれを突き詰めて頂くことが何よりかと思うのですが、私のやり方に限って言うなら「ポジとネガ」をまず考えます。

 ポジとは、ポジティブの略。ネガとは、ネガティブの略。これらは絵に関して使う場合、それぞれ画面に占めるシルエットの内側(ポジ)と外側(ネガ)のことを指します。

 若干分かり辛いですかね、下のイラストでご説明致します。

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 このイラストで、人物とクリーチャーのシルエットを切り取ってください、という指示があった場合、その際に取ったシルエットがポジ。そして、周りの空白部分がネガになります。具体的には「ポジティブな形」「ネガティブな形」というような言い方を致しますね。これ、逆に言えば空白の部分をポジとする時、人物とクリーチャーのシルエットがネガであると言う解釈も出来ます。

 この概念がなぜ大切なのか。それは、人が絵を描く時陥りがちな傾向として、ポジティブな形ばかりに気を取られてしまう傾向があるからです。

 

 しかし、実際には人の目はネガティブな形も同時に認識しています。ポジティブな形だけではなくネガティブな形をも面白くすることが、より良い構図に繋がる。私はそう教わりました。

 また、このポジとネガの概念は、形が正確に取れているかどうかという点を確認する際にも有効に働きます。失敗例としての話ですが、上のイラストで人物の左手の辺りが若干粗いのがお分かり頂けるでしょうか。(他にも粗い部分は多々あるのですが)

 こういった、はみ出しや歪みといった粗を見極めるとき、ネガティブな形に注目すると良い場合もあるということです。

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 このポジとネガの概念を絵に適用するとき、特に気を付けたい点が「シルエットの形としての面白さ」です。上のイラストなどは、やはりこれも失敗例に当たります。人物と背後のモンスターのシルエットが全面的に重なってしまい、ポジやネガを見てもそれが何を描こうとしたものなのか、一目ではピンと来ません。何より、シルエットとして長方形に近い抑揚のないポジになってしまっている。

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 反面、この一枚など、ポジの形が起伏にとんだ面白いものになっている上、画面を一直線に切裂く、いわゆる画面分割型のネガを上手く回避していると言えます。こうした面白いポジ、ネガの形を使うことで、画面に勢いやリズムを与えることが出来るのですね。

 何が良い形で悪い形なのか、まだイメージし辛いと思います。もう少し例を挙げて行きます。

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 こちらも私の習作になるのですが、塗りの目が粗い点はとりあえずスルーして下さい…。ここで大切なのは、人物のポジと背後の竜のポジが微妙な形で接しており、ポジの形が面白くなっているという点です。

 人物の形がそもそも、シルエットでぱっと見た状態だけでもポーズが分かり易くなっていますね。そして、背後の竜のシルエットが人物には完全に被らない形で存在している。結果、明度的に高い竜のシルエットに引っ張られて人物の顔に辿り着くという視線誘導を果たしたうえで、人物の重なっていないシルエット部分(足元や左腕など)の先端に目が行くという構造を作り出しています。

 

 実際にはそれほど単純な話では無く、モチーフの明度差なども密接に関わってくるのですが、ポジのシルエットから特出している形はネガのシルエットでも特出して見えることになります。よって相乗効果で更に目立つ。

 この「目立つ」というのが重要で、要所を目立つように配置されたポジとネガは、サムネイルや縮小状態でも真っ先に人の目に認識されます。つまり、サムネイル映えする絵になるわけですね。逆に、サムネイルの時点で目立たせる必要のない要素や、ぱっと見で目に入ってくる必要のない要素は、ポジ、ネガとも埋没させ背景の要素と溶け込ませてしまえば良いわけです。

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 さて、今回はざっくり構図の一要素について解説させて頂きました。次回から他の要素も折を見て解説させて頂ければと思うのですが、先日も申しましたように、私の経験や私見をただ垂れ流すのは意味が薄いですね。私自身も勉強できる機会にしたいと思うので、ご意見やご質問、ご指摘などどしどし承ろうと思います。今回から俺講座に頂いたご意見等に関しては、出来る限り早い期日で講座にフィードバックできるようにしようと思います。よろしくお願い致します。

 では、今回はこの辺りで。また次回お目に掛かります。