初級者向け講座10「デザインコンセプト再考と”自分らしさ”」
おはようございます。昨晩も三時間程仮眠をとっての徹夜作業でした。
今回は、前回までのオリキャラデザインに絡めて、コンセプトによる主な造型やパーツの纏め方のお話をさせて頂ければと思います。
コンセプト、という言葉を、私はこのブログでよく用いております。以前にも一度記事として取り上げましたので、概略はそちらに任せるとしまして。
ここでは、コンセプトを実際にデザインに絡めていく方法についてちょっと語ろうかな、と。
俺講座8でも簡単にさわりだけ示してみましたが、コンセプトというものは言葉ほど難しいものではなく、イメージを纏める際の方向指示器や標識的な役割を持つものです。ここでも俺講座9で申しましたようなイメージの関連付けが反映されることになります。簡単なコンセプトとイメージのモデルを、下に書いてみます。
コンセプト(かわいい、女の子、高校生)
-イメージ 「かわいい」=童顔?お嬢様顔?猫顔?
「女の子」=か細い?ふっくら?背が高い?女の子らしい?男勝り?
「高校生」=セーラー服?ブレザー?スカート丈短い?
-(イメージの選択)→最終コンセプト「童顔のふっくらしたブレザーの女子」
上に示しましたように、コンセプトの触りはごく大雑把なもので良いのですね。描きながら、あるいは枚数を重ねながら、イメージをより具体的に練磨して行き、具体的な造型に関わるワードに落とし込んで行く。これが最近私が口癖のように申しております「ブラッシュアップ」という工程になります。
私の場合、ラフの状態がモデルの一番上、基礎コンセプトの部分に当たり、そこからイメージを削り出しながら具体化=ブラッシュアップし、最終的な状態に向けて構造を整理して行く(ディテールアップ)、という工程を踏んでおります。
俺講座9で、部品を組み合わせてデザインを作る、的なお話を致しましたが、それが有効である理由も、概ね先程の工程を踏むことが有効であるから、という所に帰着します。
ここで重要なのは、先進的な新しい発想というよりは、むしろ型にハマった常識的な思考。これに関しては、下の記事を参照して頂けると良いかなと思います。(今回リンクだらけで申し訳ない…)
つまりは、部品そのものに結びついたイメージからパーツの情報を引き出し、それらを組み合わせたデザインを行う、ということですね。
また文字ばかりですので、いつも通りキャラデザの遷移を実際のイラストでご覧頂きながら、今回の命題である「自分らしいデザイン」について考えて参ります。
こちらは二千十二年頃に作成したオリジナルキャラクターの草案になります。コンセプトは「銀糸で戦うコンバトラー」なのですが、このコンセプトはかの有名な吸血鬼漫画である「ヘルシング」に出て来た執事キャラからほぼそのまま拝借致しました。
私も昔はこんな風に、上手くコンセプトの設計が出来なかったため作品を読んで感動する度それにまつわるキャラクターを複製して楽しむ、ということをやっておりました。これも自分や友人をモデルにするデザイン方法の次段階として試してみると有効かもしれません。
命題について考えて行きます。「自分らしさ」というものは、「個性」と言い換えることも出来るかと思います。ですが、ここではひとまず、個性と自分らしさというものを別にして考えて頂けるとありがたいです。個性、と一口に言う時、それは広義の意味で未熟さや不勉強から来る絵の狂い、歪さなども含んでしまいます。それを個性というのも決して間違いではないのですが、洗練されたデザイン、絵を作るという趣旨から外れてしまうため、ここではあまり深く言及は出来ません。
「自分らしさ」という言葉で考えて頂けると、自分の強味を活かし、自分にしか生み出せないものを作る以上に、その「自分」を「誰かに認めて貰えなければ」そもそも価値を共有できないということにお気づき頂けるのではないかなと思います。この点で、ファインアートとデザインアートとは全く趣を異にする傾向にあるのですが、その点は以前も話題に挙げましたし議論が尽きない部分だと思うので一旦割愛。
話を軌道に戻しましょう。
これが同キャラの第二稿になっております。
まずぱっと見た時、それほど独自性の強いデザインとは言えないのではないかなと思います。ブロンドの長髪、ベスト、短パン、スニーカー、等、デザインの根底にあるものはどこにでもある普通のモチーフです。その中で、銀糸を操るという設定だけが異質ですね。ここが重要。
例えば森があるとします。ほとんどの木がシラカバである中で、一本だけ縄文杉のような巨木だったら、大変目立ちますよね。「縄文杉の森」なんて名前が付くかもしれません。でもほとんどの木はシラカバです。上のデザインと同様に、平凡なものが並んでいる中で特質したものが一つあるから際立つのです。もし、ほとんどの木が縄文杉で一本だけシラカバの木だとしたらどうでしょう。シラカバの木のほうが目立ってしまい、その森ではシラカバのほうが希少視されるかもしれません。
その意味で、やはり今までに先人が生み出してきたデザイン案の中に、何か一つ新しいものを落とせればそれで十分なのです。むしろ、先人の見慣れたデザインが、新しいものの引き立て役になってくれます。
これがデザイン第三稿。ここまで来ると、私のデザインの引き出しもだいぶ増えてきているようで、少し特殊なパーツが増えてきていますね。
ぶっちゃけた話、先ほどまでの話を総合しても、デザインというものは他人の物を見て盗むのが基本です。盗んで引き出しを増やし、自分のデザインに転化する際の選択肢を増やしておけばおくほど、それらを取捨選択して組み合わせて出来るパターンもねずみ講式に増えて行きます。いかに「盗んで」「組み合わせ」るか。これが大切で、安定したデザインにするためにも特に有効な手段です。
このキャラを動かして遊んでみた画像で締めてみます。
大体が自分の持っているキャラデザの運用法に関して、語り尽くした感がございますね…次回簡単なまとめをさせて頂きつつ、次の講座の内容を考えて行きます。
講座内で取り上げて欲しい話題などございましたら引き続き募集しております。では、また次回。