イラスト・ノート

イラスト描き、山田唄の制作物を載せて行きます

初級者向け講座8「初めてのキャラ作り」

 おはようございます。今週も後半に差し掛かり、五月もいよいよあと四日です。相変わらず絵の練習ばかりの日々に、少しずつ絵の営業も行っているのですが、なかなかですね。現在は停滞する期間なのかなと思います。頑張ることも大事だけれど、割り切ることも割と大事。のんびりやって行きます。

 人体に関する俺講座は前回までで一区切りとして、今回はキャラデザの始め方についてちょっと触れてみようかな、と。いわゆる「オリジナルキャラクター」「オリキャラ」「うちの子」の作り方、です。

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 私は昔から割と創造性を特に高める目的で絵の訓練をして参りました。早い話、キャラデザに特化して勉強してきたわけです。その過程で必要に迫られて人体や構図や塗りのスキルも勉強して参りましたが、やはりキャラデザを褒めて頂けることが圧倒的に多いですね。

 絵というものはそもそもが日常には必要のない特殊なスキルや知識を数々必要とする分野であり、キャラデザなどはその代表格です。日常において、「想像する」という練習を行っていないとなかなか慣れないスキルかと思います。しかし、絵のスキルや知識はある程度高めると様々な事柄に転用、接続して役立てることが出来るようになって行きます。それは逆も然り。

 例えば前回までお話した人体の知識は、元々が医学から繋がってきた知識であり、絵描きは昔から動物の解剖をしたり死体を模写したりして、その構造を把握するという勉強を行ってきました。その研究が逆に医療の発展を影から支えてきた側面もあります。うちの病院の職員様も、研修内容に「スケッチと模写」の講義が含まれていたと仰っていました。

 それはキャラデザにも言える事。キャラクターを把握するという事は、現実の人間関係を把握する上でもかなり有効に働くスキルと成り得ます。例えば、このキャラクターは笑う時どういう表情をするのかな?と想像する。それは、こういう笑い方をしている人はこういうことを考えているのではないか、という思考に繋がります。

 人物を描く、ということは、人間そのものを大まかに理解することに役立つわけです。

 

 そんなわけで、私が最初にキャラデザを行った際参考にしたのは、身の周りの友人、知人達でした。元々がアナログで絵を描いており、並行して文章の練習も行っていたため、まず知人をモデルにショートストーリーを描くことから始めたのが大元です。それは小学校高学年頃の授業の一環としてやらされた課題だったのですが、この課題は当時の担任のオリジナルだったようで、なかなか粋な授業をしてくれる先生だなと思いましたね。

 そこで、私の場合まず実際にいる人物を観察して理解する、という所から入りました。この辺りなど人体の練習とほぼ変わりません。人体の知識は今でこそ文章媒体やイラスト媒体に広くまとめられているものの、元々は当然実際の人体を観察することで得られた知識です。「実物をよく見る」。これに勝る絵の上達法は無いと言えます。

 とは言え友人のことを最初からキャラに落とし込んで考えるのにはなかなか抵抗のあるものかもしれません。一番初めは自画像から入るのが良いかもしれませんね。自分の分身を絵の中に再現してみる。私も件の課題で主人公にしたのは自分自身でした。確実に黒歴史になるお話ではございますが、自分程面白く理解するのが難しい対象もなかなか無いので、私は現在でも時々自分の代理キャラというものをデザインしてみています。その時々で自分の考える自分の理想像や現実像というものにブレがあり、それだけでも何体もキャラが生まれました。

 

 今回ここまで文章ばかりなので、実際にデジタルに移った際作った代理キャラ(自分を投影したキャラ)のキャラデザの過程をご覧にいれながら更にご説明致します。

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 これが元々の前身となったイラスト。デジタル絵を初めて三年目のものなので、下手くそなのは目をつぶってください。自分は元々和風ファンタジーというものが大変好きでした。中でも、様々な妖怪や物の怪、特に鬼というものが絡んでくるお話に興味がございましたね。当時観たアニメや漫画の影響もあるのでしょう。ちょうど「陰陽師」などが流行っていた時でしたし。

 そして、自分は「武士道」という物もまた好きで、刀による殺陣など最高に好きでした。このイラストはそんなところから生まれた一枚ですね。このように、初めは自分の好きなものをとにかく詰め込んだデザインをするのが意外と大きなポイント。好きなものは自然とよく見ているので、詳細なども想像しやすく、また資料も身の回りにたくさん転がっていることが多いですからね。

 そんなわけで、この一枚が当時気に入ったので、ちゃんとキャラとしてデザインしてみよう、どうせなら代理キャラにしてみよう、と思ったのが始まりでした。

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 見づらいですが、先ほど申しました自分の趣向をそのまま落とし込んだようなキャラになっていますね。刀、侍、鬼、そして背後の妖怪。元々はコンセプトを考えるのもそれほど上手くは無かったので、その程度の稚拙なコンセプト設計でした。

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 先程の物を携帯サイズではなくちょっと大きな画面に落とし込んでみたのがこれ。初めは小さな画面でデザインする、というのは、実は結構有効です。初めから細部まで考えてデザインするのはかなり難しいので、大きく形を取るだけにしておいて、細かい部分は後から考える、という流れですね。

 当時自分が長髪だったためキャラも長髪にし、顔形なども自画像を参考に作って行きました。

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 塗り方を変えてまた描いています。正式なキャラデザにするとき、割と重要になるのはキャラの細かい身体的特徴というより大雑把な見た目と衣装のほうであり、特に複雑な構造にする場合など三面図(正面、側面、背面から見た図を並べた構造図)を描くことがままあります。ただ、私はそれが結構苦手。一度描いたキャラクターを二度三度同じ衣装で描くのは結構疲れるので…。この当時も衣装や身体的特徴など二転三転していますね。厳密に決めて描くのもそれはそれで面白いし勉強になるので、そこは個人の好きなやり方でやって言って頂ければ良いかな、と。

 このイラストの辺りで、この子には「ムラト」という名前が付きます。

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 二つ前のイラストに「父。」などというメモがございましたが、ムラトは父親の頭蓋骨に魂を定着させてよみがえらせ、生きた武器にしているという大変禍々しい設定がございました。その父親が生きていた頃のイメージ。ここまで割と短い期間で連続して描いており、最初の絵の日付が二千十二年の四月十六日。この絵の日付が同年七月二十四日となっています。短い間に少し絵柄も変わっていますね。

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 実は先日載せたコレもムラトさんでした。ここまで来るとだいぶイメージも具体的になり、絵も上達してますね。日付は同年八月二十一日となっています。

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 当時流行っていた女体化などもやっています。オリキャラで面白いのが、こうやっていろんな衣装を着せたり様々なポーズ、表情をさせてみることにあるかもしれません。とりあえず絵が描きたい時にもオリキャラが一体いるとなかなか便利ですね。

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自分が髪を切ったのでムラトさんの髪も短くしてみたヤツ。

 

 さて、いかがでしたでしょう。今回は初めてのキャラ作りということで、具体的な方法論と言うよりはキャラデザという物に対してより砕けた理解をして頂くための口座になりました。やってみたことが無いと、なかなか難しく感じてしまうのが人間ですが、今回見て頂いたように、キャラデザと言うのは割といい加減にやってみても案外形になるものです。とりあえず適当に描いてみて、気に入ったらコンセプトを練り直して修正稿を重ねて行く、というのがやり易いかなと思います。

 次回はもう少し具体的なノウハウのお話にしたいと思います。では、また次回。