イラスト・ノート

イラスト描き、山田唄の制作物を載せて行きます

初級者向け講座7「人体まとめ」

 おはようございます。昨日くらいからこちら関西では三十度に迫る気温の日が続いておりまして、五月にしてもはや真夏の様相を見せ始めております。恐ろしい恐ろしい。

 今回は、今までの人体の総まとめと補足をさせて頂こうかなと思います。

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 人体というものを描こうとしたとき、まず外してはならない大切だと思われる点は、「性差」と「バランス」と「動き」の三点になるでしょうか。逆に言えば、この三点さえ抑えておけば、人体はある程度のレベルで描けるようになるという事ではないかなと思っております。その三要素に関して一つ一つ説明し直して参りましょう。

 

 まず、性差。男女による体つきの違いですね。これ、実は私自身が最初はガン無視して描いていた要素です。

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 以前載せたこれを描いていた当時ですね。元々中性的な体つきから入り、自分の描く人間には性別が無いのだという俺ルールを作って納得しておりました。そんなとき絵描きの先輩に言われたのが、「中性的な体を描く場合にも、男女での性別の差を理解しておくと説得力上がると思うよ」ということでした。そんな所から性差を勉強し始めて描いてみたのがこちら。

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かなり粗い上に、携帯の画面で見ることを想定した解像度で描いたためお手本としてはゼロ点なのですが、男女を比較したとき「腕、脚の太さ」「胸板の厚さ、乳房の有無」「身長」「首の太さ」などをより強調して差を付ける事が近道になるのではないかなと思っております。早い話、男性は何かとゴツく大きく動きが外側に向かい、女性は繊細で丸く動きは内側に向かう。そんな風に理解して頂けると良いかもしれません。

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 これはしばらく研究してから描いた女性です。身体のライン的にはちょっと分かりにくいですかね…ただ、性差を指し示す要素として一番重要なのは、胸と骨盤と髪形、の三つくらいであることがほとんどです。極論ですが、髪が長ければ女性、短ければ男性、くらいの描き分けしか出来ないような漫画家様も、今の時代にもいくらでもおられます。要は、外からぱっと見た時すぐに分かる要素としての描き分けが出来ていれば良いのです。

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 これなどなかなか資料として分かり易いかもしれません。女性の体つきを描く時、意識して頂きたいのが「胸を強調する」という事と、「骨盤(尻)を大きくする」という事、そして、男性よりしなやかで丸みを帯びた輪郭で描くという事でしょうか。

 女性はその遺伝情報から、生まれつき男性より脂肪がつき易いようにプログラムされています。脂肪の柔らかさを表現できるようになれば、男性の筋肉質なごつごつした身体との対比で適切に性差を表現できるようになります。

 胸と尻を強調するというのはもう言わずもがなですね。そこが男女で最も違う部分かと思います。あとは、胸と尻に挟まれたウェストを綺麗に描けるようになれば文句無しでしょう。

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 男性に関しては、難しいと思われるのは特に筋肉質にしたい場合かなと思います。痩せていたり幼かったりする男性の体つきは女性に近いものになりますからね。

 筋肉についてざっくり解説すると、体幹の胸の部分についているのが大胸筋。いわゆる胸板。そして腹直筋。腹筋ですね。そして外面腹斜筋。腹筋の横についている脇腹の筋肉です。この三つを理解していれば大体は大丈夫。これ、意外なことですが、結構がっつり鍛えていらっしゃる方でもアスリートなど体脂肪が少ない方は、大胸筋の下に肋骨(あばら骨)が透けて見えていることが多いです。なので、肋骨のラインを(女性の場合でも)意識してあげると、かなり良くなる。

 腕、脚の筋肉については大変難しいのでここでは解説致しませんが、筋肉や脂肪を蓄えていくと、痩せている人の関節が二の腕や足首より太い状態から徐々に間接がきゅっとしまっているように見えて行く、という点を抑えていると、割とそれっぽく見えます。

 

 次に、「バランス」について解説させて頂きます。

 バランスと言う言葉はいろんな意味を含むんですが、人体を理解する上でのバランスで大事なのは、体格と等身かなと思います。これ、両者は割と分かちがたい概念かもしれません。海外のモデルさんなんかは十頭身にも及ぶようなスレンダーでナイスバディな方がちょくちょくおられますし、そういう方は体格も綺麗ですよね。日本人なんかはそこ行くと扁平で低等身、六頭身ほどが現在の平均です。

 ここについては長田様が以前ご自身のブログでご解説されていたので割愛。

 

 最後に、「動き」に関して。

 割と細かい所まで以前の講座で語り尽くしてしまったので、改めて言う事はほぼ無いのですが、私が動きの勉強を始めた時に先輩に言われたのは、「どういった動きの途中を切りとったポーズであるのか意識すること」と「ポーズで性格やキャラを感じさせられるようにすること。

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 失敗例になるのですが、このイラストを描いたときに、「このままだと足がもつれて転んでしまいそう」と言われました。実際腰を捻り過ぎた無理のある姿勢になっている上に、重心が左に傾いていて今にも倒れそうですね。

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 これなどは、先程の失敗例とポーズ的にもコンセプト的にも近いものがございますが、重心も安定しポーズで自信ありげなキャラの性格も表現できている成功例です。

 

 かなり長くなってしまったので、今回はここらで〆ておきます。

 人体を考えるとき、というよりも、絵を描く時に一つ頭に入れておいて頂きたいのは、「絵の中に理由のない要素を入れないようにする」のが賢明という事です。描きたいものが決まっていない状態では特になのですが、ただ思いついたモチーフを思いついた形で、特に煮詰めずに描くと、観ている人にとってそのいい加減さが実はかなりはっきり分かってしまいます。

 その点は私の一番の弱さでもあり、今現在も勉強中の部分なのですが…コンセプトをしっかり練る事を意識していれば自然と解消されていく部分なので、ぜひ描く時は「誰が」「なぜ」「何を」「いつ」「どこで」「どうしているのか」といういわゆる5W1Hを考えて頂ければなと思います。

 

 では、本日はこんな所で。次回の講座では、私自身も勉強中である構図の作り方、そしてデザインの仕方についてのノウハウに触れて良ければなと思います。また次回お目に掛かります。