イラスト・ノート

イラスト描き、山田唄の制作物を載せて行きます

「アヌビス」

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■アヌビス

 こんにちは。今回の一枚は一昨年辺りに描いたモノのリメイク。とりあえず取れる択を手堅くとって仕上げたものになります。さほど特殊なこともしていませんし、今までの反復と言える材料で作ったため、今回も特に言う事のない安定した出来ですね。

 もう一段階精度を上げていく必要を感じ始めており、次に精査すべき部分を探し始めています。

 

 

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■落書き

 

 さて、昨日原田マハ様の「暗幕のゲルニカ」を読み終えました。

 多少のネタバレを交えて解説しますと、今作はかのMoMA美術館でキュレーターとして働く女性、瑤子が、9.11事件で夫を亡くした悲しみを乗り越えるために、反戦を掲げて美術で戦ったピカソの代表作「ゲルニカ」を招いての回顧展を企画する現代パート。そしてパブロ・ピカソが実際にゲルニカを描き上げてからナチスの巻き起こした戦禍に巻き込まれていくまでの、史実を基にした過去パートによって構成されています。

 どうやら9.11事件に触れた原田様が、強い悲しみと怒りから筆を執ったのが今作であるらしく、いつも情熱的でありながらも客観的に美術の可能性を表現する原田様らしくない、強い口調で戦争とそれを起こす人類を非難する文面が見られる作品となっております。

 

 昨今、日本の再軍備に関する法案の整備が進む状況となっております。特に年若い日本人の間で、やられっぱなしになっているから日本は舐められるのだ、戦争の抑止力として軍隊を持つべきだ、という諫言が繰り返し主張されるようになりました。

 原田様もそれに心を痛められて今作を執筆されたのでしょう。この時期にこれを読むことが出来てよかった。

 

 彼ら、武力を持つべきと言う人達の主張は一見正しいように思えますが、実際はどうでしょう。軍隊を持ってしまえば、日本の首脳がそれを何らかの戦争に投入する決断をする日は遠からず訪れます。そうなったとき、実際に死ぬ事になるのは、戦争に赴く軍人だけではなく、彼らを派遣したことで恨みを買う事になる日本人全員です。

 いずれまた、日本が戦争の舞台になる日が訪れる。そうなったとき、被害を被るのは誰あろう私達であり、私たちの大切な人達です。

 

 そんな考えから、この数年私は歯がゆい思いで「憲法を改正すべき」という議論を見てきました。実際には「軍隊を持つべき」という思想を流布している人間たちは、日本が不利益を被ることを望む半日主義者たちや、彼らの主張に何も考えずに流される頭の弱い人間たちであることが解ってきましたね。

 少なくとも戦争に加担すれば、日本軍人も罪のない軍人以外の人間を多数殺すことになります。そうして生まれるのは単なる血が流れる報復であり、何の価値もない負の連鎖です。暴力に暴力をもって立ち向かうことは、決してあってはならない。なぜならば、それをしてしまえば暴力をふるったものは確実に暴力によって報復されるからです。

 

 そんな単純な事が解らない人が、どうも多数いるらしい。

 

 原田様も、おそらくは暴力によって主張をなそうとする彼らを、暴力に依らない、筆の力でなんとかしたくてこの作品を書かれたのだろうなと思いました。

 

 人を殺すことで生まれる平和は、虚しい。その単純な事実にもっと多くの人が気付いてほしいと思いつつ、今回はここで締めます。

 次は美術関係の参考書でも借りて読んでみましょうか。

 

 ではまた次回。