「鉄線廻界」
■鉄線廻界
こんにちは。一日休みまして、本日も背景の景観を主体としたものです。大分絵に殺気というか、気迫が戻ってきたことが伺え、甘えとしても抜けてきたのを感じております。各要素を見据える「眼」が大分シビアに働いており、ミスのない作画になってきたかなと思いますね。
まあとは言え、技術の低さは依然として存在するわけで、今回で言うなら背景のビル群のディテールが大分足りなく見えます。電柱のディテールが一段階細かくなったため、比較して描き込みが足りなく見えるんだろうなと。全体的にギアを一段上げていく必要がありますね。
■落書き
さて、昨日はあれからスケッチだけ数点こなし、あとは漫画を読みながら休養しておりました。結果今日は気力が戻ってきており、また新鮮な気持ちで絵に向かえたのでやはり適度にサボる形は必要と見えます。
しかし、絵描きとして絵も描かずに能書きだけ垂れるという状態にやや抵抗があり、特に昨日一日ストレスがなさ過ぎて非常に楽に過ごせたという点が自分で許せない。
一時でも楽になってはいけないと思うわけです。それが私が背負うべき業であり、するべきこともせずに絵だけ描いて生きるという生活を続けている自分が最低限持つべき矜持だと思う。
もっと自分を追い込まなくては。ぬるま湯に慣れきっていいはずがない。
振り返りをどういう形で続けるかについてももう一考しておこうと思っています。
尚、先日の通院時に友人から、件の漫画の短編集を二冊借りました。以下それを読んだ感想。
・「珈琲時間」 豊田徹也
珈琲にまつわるちょっとした非日常を描いた短編集です。全体を通して淡々とヒューマンドラマを紡ぐ複数の意味で優しい話となっており、友人には刺さった模様。奴の描く小説に雰囲気がかなり酷似していますからね。
しかし私から見ると、確かに良い短編も複数含まれているものの、ほとんどの話はただ「これなんかイイ感じじゃない?」くらいのふんわりしたシチュエーションを、特に意味も持たせず垂れ流す形となっており、頭を使わずに読める点は良いなと思いましたがそれだけだなという感想でした。深みも表現意図も全く足りていない。
それが友人の描く小説の弱点でもあり、この作者と友人の人生哲学の浅さを指し示すこととなっているなと。
・「虫と歌」 市川春子
こちらは対象的に、かなり灰汁の強い設定とストーリーを紡いだ短編集です。友人は「これはなんか違うと思った」と申しておりました。まあ、それだけに私はこちらの短編集のほうが好きですね。
非常に突飛な、夢の中のような状況を扱いながらも、丁寧に人の心情が追われており、そのところどころぶっ飛んだ発想が逆にいいスパイスとなってくれています。美術で言うならいわば抽象画のような作品で、読み解くには一定の感性と見識が必要であるものの、刺さる人には深く刺さる物語という印象でした。
簡単に言うならば「人を選ぶ」わけですが、しかし個人的に単に耳障りがいいだけのスカスカの作品よりはよほどいいなと思いましたね。
ではまた次回。