イラスト・ノート

イラスト描き、山田唄の制作物を載せて行きます

鋭く柔らかいエッジ

 こんにちは。ここ数日狂ったように絵を描いていた反動か、今日はなかなか筆が進みません。オンオフをきっちりつけることが今年の課題でもあるので、まあこういう日があっても良いだろうと思うのですが…。私はイラスト一枚に掛ける時間がとても少なく、いつも慌てて仕上げてしまうので、とにかく落ち着いてどっしり腰を据えて絵と向き合えばもう少し計画的に日々を過ごせるのかななんて思っていたりします。

 今日は絵のお話の中から、エッジについて少しご説明致します。

 

 今までの記事にたくさんのイラスト習作を載せて参りましたが、観る人が見ればそのイラスト達が大体二種類に分けられることに気付いて頂けたのではないかなと思います。「なんかぼんやりしてる」イラストと、「かっちり輪郭が取られている」イラスト。

 これ、それぞれの描き方が異なるからなのですが…。

 

 脇道に逸れたお話ですが、私は元々「水彩塗り」と呼ばれるデジタルの技法を使ってイラストを制作しておりました。この技法は、アナログの画材、透明水彩を使ったイラストのように、半透明のタッチを何重にも重ねて重厚さを上げて行く描き方を意味します。半透明のタッチを重ねるにあたって、これが結構ぼやける。

 それに対して輪郭のかっちりとられているイラストのほうは、厚塗りという技法で描かれています。

 元々輪郭がぼやけるのを避けるために厚塗りに転向したのですが、この輪郭がかっちりとられていることを「エッジが強い」と言うように言う事があります。

 

 エッジとは直訳すると「刃物」の意味になるのですが、絵に於いては鋭さのことを指します。これ、なんで大切かというと、絵に描かれたモチーフの「質感」に関わってくるからなのですね。

 質感とは材質感と言われることもあるように、そのモチーフの手触りや表面の凸凹などの材質的な情報のこと。これがしっかり表現されているかどうかで、絵の持つリアリティ(この前言った「説得力」)が大きく変わって来ます。

 

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 例えば、以前もご紹介した上のイラストは、水彩塗りで描かれた昔の習作です。なんとなくぼんやりしているのがお分かり頂けるでしょうか。肌や髪、布などの柔らかい部分はこのぼんやりした表現が良く合う=質感を適切に表現できるのですが、鎧や剣、岩などの固いものはエッジの鋭い表現にしなければ、なんとなく柔らかい鎧や剣であるように見えてしまいます。

 私はこの鎧や剣などをモチーフにすることが多いために塗り方を変えたのですね。

 その結果がこちら。

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 このイラストも去年の頭頃のもので、けして上手くはないのですが、比べてみるとエッジの強さの違いがはっきりお分かりいただけるのではないかなと思います。

 エッジはただ単純に強くすれば良いというものではないものの、特に現代のイラストワークにおいてはすっきりと整った、強いエッジの表現が是とされることがなかなか多いです。まず、ぱっと見たときにすっきりしていますし、データとしても扱い易いですしね。

 もちろん意図的にエッジを弱くする場合もあり、これも前回のコントラスト同様、各人で研究を勧める必要がある概念と言えるでしょう。

 

 さて、なんだかんだやっているうちに今月も月末に差し掛かって参りました。少し前予告しておりましたキャラデザインの習作がちょうど良い数に纏まりつつあるので、次回はそれらを纏めてご紹介できればと思います。