イラスト・ノート

イラスト描き、山田唄の制作物を載せて行きます

必然的コンセプト設計

 こんばんは。今週も日曜日となりました。気が付いてみると一月も三週目の半ば。本当に時が経つのは早いものでございます。毎日そこそこ充実しているものの、時々めまぐるしさに立ち止まってみたくなる時がございますね。そういう時立ち止まれるかどうかで、余裕のある時間を過ごせるか決まってくるのかもしれません。

 今回から前回の予告に随い、イラストワークにおけるキーワードを少しずつご説明して行こうかなと思います。一回目は「コンセプト」と言う言葉について。

 

 この言葉は、以前描いた記事の中でも簡単にご説明致しました。改めて言えば、イラストなどの創作を行う際に基となる「イメージ」の事ですね。

 私自身もそうであったのですが、絵を始めた頃、もしくは描いていない人には、このコンセプトの重要さはなかなか伝わり辛いかと思います。絵なんて自由な発想と思いつきで描くものだ、という認識がまだまだ一般的ですからね、私自身まだ描き始めるときにはコンセプトを決めずに描くことも実際ままございます。

 しかし、コンセプトがあるかないかで、イラストの持つ「説得力」が大きく変わって来ます。

 

 説得力、とは、その創作物のリアリティがどれだけ伝わり易いか。リアリティを持たせるために必要なのが情報や資料であり、またその情報や資料を集めるための導となるのがコンセプト。

 であるためにコンセプトは大変重要なのです。

 今回も例を挙げてご説明していきましょう。

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 このイラストは去年の習作ですが、特にコンセプトを決めず「女の子を描こう」という目的のみで適当に描いたものになります。絵として「無し」ではないのですが、やはりぱっと見たときに何を伝えたかったのか、何を一番描きたかったのかが分かり辛い。

 それは、女性の表情が曖昧である点、デザインに(初めのほうの記事でお話した)イメージの継承が行われていない点、背景がとりあえず合わせてみたものになっている点、そしてポーズも何の動作の途中であるのかが分かり辛かったり、視線のやり場が曖昧だったり。とにかく何一つ「決まっていない」ために、「見せ場のない」イラストになってしまっているのですね。

 

 これを描いた後で自分でも反省し、コンセプトを設定し直してもう一度女の子のイラストを描いてみました。

 

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 今回のコンセプトは「セクシーな衣装を着た」「気性の荒い」「女魔導師」と言ったもの。

 いかがでしょう。ぱっと見たときにある程度コンセプトが予想できるくらいのイラストになっているのではないかなと思います。その結果として、今回伝えたかった私のイラストワークにおける意図(表情、ポーズ、視線、色使い、シンボルモチーフなどの意味)が伝わり易くなっていると言えます。この伝わり易い状態が先ほど申しました「説得力のある」状態なのですね。

 

 先日も簡単にご紹介致しましたが、コンセプトを伝える事をのみを目的とした作品を「コンセプトアート」と呼ぶことがございます。私がこれまでお目に掛けてきたイラストは、全てこのコンセプトアートであると言えるかもしれません。

 コンセプト=作品の持つ意味。

 少し重要さがお分かりいただけたでしょうか。

 

 コンセプトに限らず、絵を描く上で実際の描画の工程よりもその前の下準備のほうが重要になるのはままあることです。料理で言うなら、何の料理を作るか決めて(コンセプト設計)、材料を購入し(資料を集める)、下準備をする(ラフや下書きを描き溜めて構図を模索する)所までが重要なのと近い部分がありますね。

 次回以降も同じような内容で創作のお話をして行こうと思うのですが、この辺りのタイミングで一度、以前載せたのとは別の創作の構想を載せてみようかなと思っております。それではまた次回。

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