イラスト・ノート

イラスト描き、山田唄の制作物を載せて行きます

リメイクを繰り返すうち

 こんにちは。今年も残す所いよいよ大晦日のみとなって参りました。ネットで付き合いのある友人達が年賀状作成に追われ、いよいよ仕事納めを迎えており、私も公私ともに人心地ついております。なんとか健康に一年を終えられそうです。

 今回も前回に引き続きデザインのお話を少し出来れば、と…リメイクによるイメージの練り込みのお話。

 

 デザイン、という仕事でまずイメージされる単語は、「センス」「目新しさ」「感覚的」といったようなものなのではないかと思います。事実その通りなのですが、仕事にする上では練り込んでいない粗削りのままのイメージ、デザインはなかなか売り物にはなりません。それは、デザインと言う物が常に「ほかの創作物」との協調、共生の中で活かされるものであるからです。

 例えば、インテリアデザインをするとき、自分が椅子のデザインを任されてすぐに素晴らしく前衛的でかつ機能的なデザインを思いついたとします。でも、それはそのままでは使えない。インテリアとは椅子だけでなく、机、棚、壁紙なども併せた総合的な生き物だからです。

 そこで、デザイナーはしばしばデザインを練り直しながら打ち合わせをするという工程を踏みます。デザインで必要なのは、先日から繰り返しているようにまず協調性であると言えます。

 

 …というのは知識として知っているだけの話なのですけれどね、私の場合。まず実際の仕事のやり取りの経験がほぼ無いので…情けない話でございますけれども。

 ただ、そんな自分であっても、デザインを調整するという作業段階に慣れるための練習は繰り返し行ってきました。

 下に、前回の記事で引用した私のキャラデザイン案をもう一度貼ります。

f:id:yamadauta:20141228133832j:plain

 この一枚は、いわばプラモデルなどで言う素組の状態。初めに出てきたイメージをとりあえず纏めてみたものです。前回にも描きましたように、このままだとインパクトやメッセージ性に欠けると判断したため、私はこのデザインをある程度継承しながらもう一度描き直しました。

f:id:yamadauta:20141230165737j:plain

 ある程度制作期間に空きがあるため、技術的な向上ももちろんあるのですが、キャラとしてまず様々な点で「分かり易い」デザインになったのではないかなと思います。髪を散らして眉毛と繋げたこと、手と爪を強調したこと、剣や鎧を禍々しいデザインにしたことなどで、このキャラクターが獣のような気性を持った荒々しい剣士であることが伝わってきます。また、ポーズも躍動的になり、いよいよ荒々しさを引き立てています。

 でも、私としてはこのままでは不満でした。元々のコンセプトに無かった要素ではあるのですが、このキャラクターに「冷静で沈着な性格」というコンセプトを付け加えたくなったのです。

 こういったコンセプトの変更はデザインの世界でもままあります。そこで、新しいコンセプトを踏まえてさらにこのキャラをリメイク致しました。

 

f:id:yamadauta:20141230170253j:plain

 こちらは先ほどのVer2とは対照的に、厚着の衣装やどっしりした表情と態度、また角ばったプレート状の剣などから、新しいコンセプトである「冷静さ」「沈着さ」を表現することに成功しています。

 

 このように、イメージは推敲を重ねれば重ねるほど進化して行くと言えます。時には他人の意見を取り入れ、なるべく観る人にとって伝わり易く分かり易いデザインにするのが肝です。

 ちなみにこの剣士はその後も何度かリメイク致しました。ざっくり下に並べてみます。

f:id:yamadauta:20141230170626j:plain

f:id:yamadauta:20141230170647j:plain

f:id:yamadauta:20141230170704j:plain

 後ろにモンスターを従え、衣装や鎧なども随分変わりましたが、一貫して「銀髪」「オリエンタル」「剣士」「冷静沈着」というコンセプトが貫かれているのが分かります。コンセプトの大切さはそういった、デザインの方向性をそのまま指し示す役割にあると言えますね。

 

 今回も習作を上げて終わります。

 イラストのリメイクは、はじめあるイラストレーターの先輩に勧められて始めました。丁度新しいイラストのネタに詰まっていたのですが、その時に「自分のイラストをリメイクするなら著作権とか気にする必要ないよ」と。こうして並べたときに自分の成長を知ることも出来るので、私からもお勧めでございます。

f:id:yamadauta:20141230171132j:plain