イラスト・ノート

イラスト描き、山田唄の制作物を載せて行きます

イメージの継承から見るデザイン

 こんにちは。いよいよ年末に差し掛かって参りました。先日過ぎ去ったクリスマスは今年も家族と過ごしたわけですが、いったい色っぽい恋人との逢瀬などというものが実現する日は来るのか…。

 今回は前回申しましたデザインに関する自分の簡単な考え方を書かせて頂きます。

 

 まず「デザイン」という言葉を簡単に定義しておくと、「自分のイメージを相手に伝える能力」の事になるのではないかなと思います。つまりは絵に限らず、音楽でも文章でも建築でもなんでもデザインです。

 ここから分かるように、デザインには何でも利用したもの勝ちな所があります。

 

 例えば、ここに一枚、私が描いたキャラデザインの立ち絵(キャラクターの全身を描いたもの)がございます。

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 ここで描きたかったのは「銀髪のオリエンタルな剣士」というイメージなのですが、全体をぱっと観たときにいまいちインパクトのあるデザインになっておりません。

 それは、表情、性別、服装、装備などの要素から「伝わってくる情報」が少ないため。この剣士は強いのか弱いのか、何のために剣を取ったのか。どんな性格でどんな信条を持っているのか。

 そういった情報が、観るだけでは一切わかりません。

 

 それを踏まえて、少し違う路線で描いてみたのが次の一枚。

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 今回のイメージは、飄々とした性格の性別不詳な士官剣士、というものでした。笑みを浮かべた表情や、どことなくふざけているような仕草、手に留まっている鳥、ラフな衣装、奇妙な形の剣、などから、色々なイメージが伝わってくるデザインになっているのではないかなと思います。

 こうしたデザインのために用いるイメージのことを「コンセプト」と呼ぶことがございます。「飄々とした」「性別不詳な」「士官」「剣士」というのがこのキャラデザインのコンセプトになるわけですね。

 そして、コンセプトを滞りなく伝えるために用いた今回のデザインで特に重要なのは、「イメージの継承」。「現実世界にあるイメージをどれだけ取り入れたか」です。

 

 ここでも例を挙げると、喧嘩っ早い不良の男子高校生、という内容のコンセプトでキャラデザインをするとき、「裾の長い学ラン」「手に持った釘バット」「リーゼント」などの要素を組み込むとスムーズにコンセプトを観る人に伝えることが出来ます。

 それは、そういった「現実にありそうな」要素を詰め込むことで、描く側と観る人とのイメージが一致するため。それをここでは便宜上イメージの継承という言い方をしています。

 当然、観る人に合わせたイメージの継承を行うことが第一です。今言ったような不良高校生のイメージは時代的にやや古いですし、これからの若年層にはなかなか伝わり辛くなっていくでしょう。そう言ったときには継承するイメージの切り替えが必要になります。

 

 どんなときにも、「良いデザイン」とは「観る人がイイと思うデザイン」。

 これが基本になるかと思います。

 

 ただ新しいだけのデザインと言うのは、アート的な価値は十分にあるものの、商業ベースにはなかなか乗せられません。伝わり易さ、分かり易さこそがデザインの肝と言えると思います。

 

 今日も習作を載せてみます。

 元々、自分にとって今回お話したようなデザインの分かり易さは大きな課題でした。やはり目新しさ、複雑さの至上主義になっていた私に、先輩が仰ったのが、

 

「設定を作ることは出来ていると思う。でも、君が描いた絵を観るとどこがそうなの? と思ってしまう。表現力を付けたほうが良いと思う」

 

 自分にとって本当に必要だったのは表現力というよりも「相手に合わせよう」という気持ちだったわけですが、この先輩の言葉は今もキャラデザインを考えるときよく思い出します。

 次回も何か絵に纏わるお話が出来ればと思います。

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