イラスト・ノート

イラスト描き、山田唄の制作物を載せて行きます

空気遠近法の適用

 こんばんは。今日で一月も終わりでございます。正月がつい先日だった筈なのですが、私はいつの間に時空をワープしていたのでしょうか。今日は一昨日感情的な記事を描いてしまったときに比べて幾分気分が楽です。少し、絵描きの方と苦労話を分かち合うことが出来まして…ネガティブな話は出来ればしたくない物ですが、やはり前ばかり向いていられないのが人間、そして私という者のようです。

 今日はいつもに比べれば少し具体的なお話になるかもしれません。空気遠近法について。

 

 そもそも遠近法とは、「絵における風景の距離感」を表現するための一連の描画技法のことを指します。一つ一つ相手にしていると大変複雑で膨大な技法群になるのですが、これらを一通り使えるようになっておくことは絵を描くことで必須かもしれません。

 そのうちの一つ、空気感で遠近を表現する技法が、今回お話する「空気遠近法」になります。

 

 そもそも先日も色のお話のときに描きましたが、物体が見えるのは光が目に届いているから。そして、光が進む先には、地球上であれば必ず空気か水が存在します。光は粒子であり波動なので、この空気、水の影響をつぶさにうけることになります。

 そんな所から生まれたのが空気を意識することで遠近を表現する技術、というわけですね。

 例を挙げてご説明いたします。

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 これは、私の制作した「空気遠近法を大げさに取り入れた」習作になります。

 まず、ぱっと見たときにハイライトに黄色が混ぜられていることにお気づき頂けるでしょうか。日光というものは、基本的には白なのですが、空気を通過する際に一部の波長が削ぎ取られてやや黄色い色を帯びます。太陽などは日光の象徴ですが、海外などでは黄色で描かれることが多いですね。これはそんな所から来ております。

 よって、物質に直接あたる直射日光が反射している部分はやや黄色味を帯びるのです。逆に、光の当り方が弱い部分には、このイラストでは目立ちませんが、青を混ぜることが多いです。これをスカイブルーと呼びますが、空の青さが反射してこのような色合いを醸し出します。

 これは遠近法のお話ではありませんが、野外のムード(明暗や色調の様々なパターンのことをこう呼ぶことがあります)を表現する上では大切なことです。

 

 さて、肝心の空気遠近法ですが、これは割と単純で、手前の人物と背後の生き物の明度が明らかに違いますよね。先ほども申しましたように、光は空気を通過する際一部がはぎ取られてどんどん薄くなって行きます。よって、遠くにあるものほど薄く見える=明度が高くなる傾向にあるのです。

 これを絵の上で再現するのが空気遠近法、というものになります。

 

 上のイラストでは、人物対背後の生き物という対照以外にも、奥側にあたる右足をぼやけた表現にしてあります。これも右足の奥行きを表すための空気遠近法と言えますね。

 

 今回ご説明したように、光の表現と絵の技法とは、大変密接に関わりのある点がたくさんございます。少し難しいですが、次回もそのようなお話を致しましょうかね。ではまた次回。

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