イラスト・ノート

イラスト描き、山田唄の制作物を載せて行きます

模写の必要性

 こんばんは。今日は購入したあるイラストレーター様の画集を真似て何点か模写練習をしておりました。今回はその「模写」に纏わる話を少し致したいと思います。

 

 模写、という行為は、作品作りという観点から言うと限りなくアウトに近いと思います。そもそも模写とは何か、ですが、基本的に絵描きがその言葉を使う時には、写真や画像などの平面情報をそのまま紙やデジタル上のカンバスに描き写す行為を言うことが多いです。

 よく似た言葉に「トレース」というものもありますね。これはそのまま写し描きの意味で、大抵はイラストの上に紙を載せて、下のイラストを透かしてなぞり描きすることを指します。

 この二つは著作権や絵描きのアイデンティティと言った側面に大変デリケートに関わってきます。少なくとも模写やトレースによって作られた絵を作品、特にオリジナル作品として発表すれば、法に触れることにもなり兼ねません。限りなくアウトに近いというのはそういう意味です。

 

 ただ、美術やイラストワークと言う観点から見る時、模写やトレースは元の絵の作者の技術(特に表現技法)を盗む方法としてとても優れているというのが一つの定説になっているようです。

 

 私自身も、元々はそうした方法を嫌って資料も観ずにオリジナルばかり描いてきたのですが、描き始めて二年経とうとも全く上手くなりませんでした。基礎と言われるデッサンやクロッキーなどは頻繁に行っていたものの、まず自分の描きたい絵はどういったものなのかという初歩的な所で躓き、長いこと足止めを食らっておりました。

 そんな私に対してイラストレーターの先輩が模写を勧めて下さったのですが、その練習を通してようやく自分の進路を見つけることも叶い、また絵を真似ようとすることで、自分の技術や表現力が未熟であることも思い知ることとなりました。

 

 模写否定派と名乗る人達も変わらずいらっしゃいますし、事実模写をせずにオリジナルで素晴らしい作品を描けるならそれに越したことはないと私も思います。

 ただ、歴史や過去の偉人に習うという意味で言っても、私は模写やトレースをあくまで練習として利用するのは是だと思っております。もちろん作品として発表しないことを前提に、ですが…。

 

 少し前に描いた習作を貼り付けてみます。

 ちなみに自分はデジタルイラストを始めて今年で五年目、絵自体は中学時代から十年以上描き続けております。でも、私はかなり成長が遅いほうらしく、模写を勧めて下さった件の先輩は絵描き三年目にプロになられました。堅実に実直に、が基本ではあるものの、効率や近道といったものも考えて行かなければ厳しい世界なのかもしれません。

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